都心部で増える家族葬
やはり都会で多い家族葬
まだまだ地方に行けば、ご近所のつながりや、町内会のつながりなどが強く、葬儀はどうしても大きな規模になっていきます。葬儀場も地方にもできてきましたが、そういうのがないところも多いですし、葬儀は檀家になっているからお寺さんで行うといったこともあります。
しかし、都心部になると核家族化が進んでいて、ほとんどのケースが病院で亡くなると、ご遺体は自宅に戻らず、そのまま葬儀場へ運ばれるケースが多くなっています。そして、お通夜と葬儀を一度に行い、2時間ほどですべて終わるようになっています。また、弔問に訪れた方々への香典返しもその場で渡すことで、その後のやりとりも行わないようになってきています。確かに、その場で住所や氏名を記載してもらっても、書き写しミスなどあると、香典返しが届かないことも起きるので、できるだけ手間をかけないようにしています。
さらに、兄弟も少なく、一人っ子も多くなっていることや、高齢者でも一人ぐらしであったりするので、親族ともあまり付き合いのない人も多くなっています。そんな中では、家族葬でひっそりと葬儀を執り行うのが広まるのは理解できるでしょう。
実際、私の知り合いでも、家族葬を行うところが増えてきています。会社経営者であっても、どこまで連絡すべきか残された家族には判断できないことも多く、また、会社経営者だからといって、儲かっている企業ならいいですが、この不景気の中では、葬儀にお金をかけるわけにもいきません。
離れた場所にいる親族にとってもメリット
都心部に住んでいるからこそ、親族は遠く離れた場所にいるということが多いでしょう。そうなると、葬儀の連絡をいきなり受けても行くことができないこともあります。たとえば、九州で葬式があるからと言われて北海道から行くにしても、そう簡単に移動できません。宿泊場所についても、どうやって確保していいか困ってしまいます。田舎の大きな家なら泊まる部屋もありますが、マンションやアパートでは、無理な話です。ビジネスホテルを探すにも、土地勘のない場所ではどうやって探していいかすらわかりません。
であれば、家族葬が終わった後に、いけるときに訪問して遺族の人たちといろいろと個人の話をできますし、そうやって、個別に対応することでいいたいこともいろいろ言えるというのもあります。
家族葬で行うことで、親族が集まれないということは、デメリットのようにも見えますが、都心部の核家族にとっては、逆に寂しい遺族のところへ交代で訪問してくれる親族がいるほうが、淋しさもまぎれるのでいいのかもしれません。