家族葬を行う理由

家族葬といっても様々な問題があります。これから家族葬をする方へガイド的なブログとなっております。

家族葬のデメリット

家族葬に理解を示さない人もいます

少しづつ認識されてきている家族葬ですが、まだまだ家族葬への理解を示さない人も少なくありません。家族葬で葬儀を行うと、知人や友人、あるいは仕事や趣味の関係者には葬儀のことが知らされないので、お別れをしたかったのにという人たちがいます。

また、ご近所などにも知らないままに葬儀が終わってしまうので、近所の人たちもどう接していいのか困惑することもあります。特に、その地域で知られている人が亡くなると、世間体や葬式もまともにできないのではないかと思われると心配する親戚も出てくるでしょう。

生前に、遺言として『大げさな葬儀は望んでいません。家族や子供たちだけで、葬儀をしてください。知り合いにも知らせなくてかまいません。』と書き残したとしても、親族が反対して、結局は、仕事の関係者にも声をかけることになって、大きな葬儀になってしまったというケースもあります。

生前から希望しているなら、書き残すだけでなく、親族や知り合いにもそういう話をしておくことが大事です。

後からトラブルにならないように

なんとか家族や身内の理解を得て、家族葬を無事執り行ったとしても、後からいろいろトラブルが起きることがあります。せっかく家族だけで故人を偲び充実したお別れができたのに、後から後から、パラパラと弔問客が来ることがあります。

交際範囲が広い人だと、人づてに広がって近くにきたからと、何週間もそういう弔問客で困ることもあります。また、なぜ声をかけてくれなかったのかと責める人も出てきます。そういう弔問客をないがしろにするわけにもいかず、一人一人に対応していたらいつまでも煩わしい思いをすることになります。

また、家族葬だから身内だけでひっそりと行おうと、お坊さんも呼ばずに葬儀を終えてしまうと、そのお寺のお墓に納骨させてもらえないとか、戒名をつけてもらえないといったことが起きる可能性があります。

このように家族葬は、金銭的にも精神的にも負担は軽くなるのですが、葬儀が終わった後から、何かと面倒なことが続く可能性があります。

家族葬のメリット

遺族が落ち着いて行う葬儀

家族葬を行うところが増えているのは、なんといっても遺族がじっくりと故人を偲び、しっかりとお別れができるということでしょう。お通夜や葬儀は、何かと忙しくあわただしく時間が過ぎていきます。親戚だけでなく、知人や会社の関係者などにも声をかけるとなると、多くの人が来て挨拶するだけで終わってしまいます。さらに、葬儀の後の香典返しなど、1週間から10日は落ち着かない日々が続きます。

それよりも、家族葬であれば、家族と親しい親族だけで執り行えば、故人のいろいろな思い出話もできますし、故人のご遺体を前にして最後のお別れをじっくり時間をかけることができます。そうやって、遺族も心の整理ができ、翌日から気持ちを切り替えて生活することができるのです。

精神的な面でも負担が軽いのですが、実は、家族葬の場合はご遺族には、肉体的にも負担がかなり軽いのも事実です。特に、長期で入院していて看病をし続けた家族にとっては、悲しいのもありますが看病で疲れ切っている遺族にとっても大きな葬儀は疲れがとれる暇がありません。家族葬であれば、家族と親しい親族だけなので、ばたばたすることなく、葬儀を行うことができます。

家族葬なら費用も抑えられる

昨今は、葬儀の規模も小さくなりつつあります。一人っ子が多くなり、一人っ子どうしで結婚すると、両方の親の面倒をみることになるので、葬儀の費用も抑えないといけないのも事実です。お互いの両親も年齢が違いですから、立て続けに葬儀を行うことだってあり得るのです。そうなると、いくら費用を抑えたとしても、なかなか大変ですよね。

親もその辺を心配していて、家族だけの小さな葬儀で構わないと生前から希望する人も増えています。特に、家族葬であれば、お通夜やお葬式で手伝ってもらうこともないので気をつかうこともないですし、顔も見たこともないご年配の親の知り合いの相手などもする必要はありません。

また、葬儀では、どれぐらいの弔問客がくるのか分からないと、葬儀場もどの程度の大きさにするのか決めかねますが、家族葬なら小さな部屋でも十分です。そういう会場費なども抑えることができるので、家族葬は一般的には費用を抑えることができます。

ただ、家族葬の中には、家族だけとはいえ、故人の好きだった場所にある葬儀場で行うとか、花いっぱいにしたいとか、生演奏の音楽を奏でてほしいといった場合には、費用に関しては事情が違ってきます。

都心部で増える家族葬

やはり都会で多い家族葬

まだまだ地方に行けば、ご近所のつながりや、町内会のつながりなどが強く、葬儀はどうしても大きな規模になっていきます。葬儀場も地方にもできてきましたが、そういうのがないところも多いですし、葬儀は檀家になっているからお寺さんで行うといったこともあります。

しかし、都心部になると核家族化が進んでいて、ほとんどのケースが病院で亡くなると、ご遺体は自宅に戻らず、そのまま葬儀場へ運ばれるケースが多くなっています。そして、お通夜と葬儀を一度に行い、2時間ほどですべて終わるようになっています。また、弔問に訪れた方々への香典返しもその場で渡すことで、その後のやりとりも行わないようになってきています。確かに、その場で住所や氏名を記載してもらっても、書き写しミスなどあると、香典返しが届かないことも起きるので、できるだけ手間をかけないようにしています。

さらに、兄弟も少なく、一人っ子も多くなっていることや、高齢者でも一人ぐらしであったりするので、親族ともあまり付き合いのない人も多くなっています。そんな中では、家族葬でひっそりと葬儀を執り行うのが広まるのは理解できるでしょう。

実際、私の知り合いでも、家族葬を行うところが増えてきています。会社経営者であっても、どこまで連絡すべきか残された家族には判断できないことも多く、また、会社経営者だからといって、儲かっている企業ならいいですが、この不景気の中では、葬儀にお金をかけるわけにもいきません。

離れた場所にいる親族にとってもメリット

都心部に住んでいるからこそ、親族は遠く離れた場所にいるということが多いでしょう。そうなると、葬儀の連絡をいきなり受けても行くことができないこともあります。たとえば、九州で葬式があるからと言われて北海道から行くにしても、そう簡単に移動できません。宿泊場所についても、どうやって確保していいか困ってしまいます。田舎の大きな家なら泊まる部屋もありますが、マンションやアパートでは、無理な話です。ビジネスホテルを探すにも、土地勘のない場所ではどうやって探していいかすらわかりません。

であれば、家族葬が終わった後に、いけるときに訪問して遺族の人たちといろいろと個人の話をできますし、そうやって、個別に対応することでいいたいこともいろいろ言えるというのもあります。

家族葬で行うことで、親族が集まれないということは、デメリットのようにも見えますが、都心部核家族にとっては、逆に寂しい遺族のところへ交代で訪問してくれる親族がいるほうが、淋しさもまぎれるのでいいのかもしれません。

 

 

家族葬の費用はどれぐらいか?

参列者の人数をどれぐらいにするのか?

家族葬の費用は一般的な葬儀よりも安くなります。しかし、それは、参列者が少ないからコストが抑えられると考えたほうがいいでしょう。

まず、一般的な葬儀の場合の費用を考えてみましょう。日本消費者協会のアンケート調査によると、葬儀本体費用が約120万円、お坊さんに来てもらう費用や戒名などで約50万円、そして、参列者への飲食接待の費用が約45万円となっています。そう考えると、トータルで200万円以上になるという計算になります。

しかし、家族葬になると、10人から30人程度の家族と親しい身内だけになるので、非常にシンプルにすれば、数十万円から家族葬を行うことが可能で、一般的には100万円程度で行うことができます。ということは、半分ほどの費用で家族葬を行うことができます。

先の内訳をみてもわかるように、葬儀を行う会場費用や参列者への飲食費が軽減されるのであって、お寺などに支払う費用は、参列者の多い少ないには関係ありません。基本的には、人数が少なくなることで費用が軽減できるというのが基本です。

家族葬では、何を残して、何を省略するかが難しい

家族葬は、ある意味、自分たちですべて決めることができます。世間体というものを気にすることなく、また、個人の知人といった遺族は一度もであったことのない人も来ないので、どのように葬儀を行おうと自由です。だからこそ、何を残して、何を省略するかを決めるのが難しくなってきます。

あまりにも省略しすぎると、葬儀とは言えないようなシンプルなものになってしまいます。たとえば、お坊さんを呼ぶのも止めてしまって、ご遺体とのお別れをして、火葬するとなると、なんとなく葬儀として成り立っているのかとう気持にもなるでしょう。葬儀は、宗教教は儀式としての意味合いがありますが、遺族にとってはそれよりも気持ちに区切りをつけて、明日からの日常生活にもどるための区切りでもあるので、それを気持の上で納得できることが大切です。

かといって、お供えのお花や個人の好きだったものにこだわりすぎると、逆に費用がかかりすぎます。

中には、家族葬であっても、音楽が好きだったということで、音楽葬のように演奏者やコーラスを招いて演奏や歌を披露してもらったり、花が大好きだったということで祭壇をこれでもかというほど花でいっぱいにするような家族葬もあります。

ちょっと特殊ですが、このような状況になると、参列者は家族だけであっても、何百万円もかかるような葬儀になることもあります。

なぜ家族葬が広まっているのか?

簡略化されていく葬儀

かつては、誰かが亡くなると近所の人も集まって、お通夜やお葬式の準備を行います。自宅を片付けるところから始まって、白黒の鯨幕を張ったり、提灯をぶら下げたりと大変な準備です。さらに親族も集まってきて、お通夜から泊りで葬儀も参列します。当然ながら、その食事の準備も大変で、大きな鍋やプロパンガスで外でも煮炊きするような状態でした。弔問客が休めるように隣近所の家も借りて行うのが葬式でした。

しかし、今は、都心部で離れた場所の出身地の夫婦も当たり前で、親族も全国各地に散らばっている状態になっています。仕事の勤務形態もばらばらになってきていて、葬儀と言えども、なかなか集まれない親族も多くなっています。特に、お通夜とお葬式が二日に渡って行うとなると、とても両方に参列するというのは不可能です。

そういう事情もあって、今は、お通夜とお葬式を一緒に執り行うことが多くなり、しかも、マンションやアパートが多くなって自宅では葬儀が行えなくなっています。近所付き合いのないマンション暮らしになると、多くの弔問客が出入りすることやお坊さんが出入りすることを嫌がる人もいますし、中には、線香の煙やニオイが嫌だとクレームをつける人もいます。マンションのエレベーターでは棺桶が乗せられないので、斜めにして無理に入れるとか、大人が何人も汗だくになって階段を下ろすといった笑い話のようなことも起きています。

そのために、葬祭場を借りて、お通夜も葬儀も2時間ほどで終えるといったケースが増えてきています。

家族葬が増えてきている背景

しかし、一方で簡略化される葬儀のために、故人としっかりとお別れすることができないという家族が増えているのも事実です。お通夜や葬儀の手続きだけでなく、家族が亡くなると、それ以外にいろいろな手続きが待っています。特に、金融機関は名義人が亡くなったことが判明すると、口座を凍結するので口座引き落としがたまたまかさなると面倒なことになってしまいます。いろいろなことに追われて、気が付くと葬儀もなにも終わっていたということにもなりかねません。

また、親族も遠くにいる人が多いことや、知人・友人もどこまで声をかけていいのか迷ってしまうこともあり、最近は、家族だけで故人を偲ぶ時間を持ち、しっかりとお別れしたいという希望が増えています。

平均寿命も延びてきて、高齢者も知人や友人といってもお互いに葬儀にいくのも大変になってきていることや、残された家族に負担をかけたくないという想いから、ひっそりと家族だけでの葬儀を希望する人も増えています。

そのような事情から、だんだん家族葬を行う人が増えてきています。